シックデイ(体調の悪い日)の対応シックデイとは風邪などの感染症で食事が摂れない体調の悪い日をシックデイ ..


インスリンを使用している方にとってもシックデイ対策は重要です。以前解説した通り、インスリンにはこれから食べる食事で血糖値を上げないために打つ「超速効型」ヒューマログ、ノボラピッドなどと、食事に関係なく日を通しての血糖値を整える「持効型」ランタス、トレシーバなどがあります。食事が全く摂れない場合超速効型は打つ必要はありませんが、持効型まで中止してしまうのは危険です。体調不良時にはストレスホルモンなどによる血糖上昇も見込まれ、思わぬ形での高血糖を招くことがあります。インスリンを使用されている方の多くは血糖測定器をお持ちかと思いますので、普段以上に自身の血糖値に敏感になっていただき、「食事も満足にとれていないのに血糖値は普段と同じかそれ以上に高いから、持効型は普通に打とう」「食事が摂れておらず血糖値は普段より少し低めだから、持効型は半分の量で打とう」「食事は摂れないけど口当たりの良いゼリー・プリン・ジュースなら摂れるが、何もしないと血糖値が上がってしまうだろうから超速効型のインスリンを普段のの量打ってから食べよう」のように、ケースバイケースの調節が必要です。迷うようでしたらかかりつけの医院に一報することを勧めます。


◇SGLT2阻害薬(フォシーガ、ジャディアンス、スーグラなど)

普通食事が摂れない場合薬どころではないと思うのですが、真面目な方で「薬だけは!」という方もいらっしゃいますので、日頃から「これは調子が悪い時は飲まない方が良い薬」と意識しておくとよいと思います。ただ、実際問題「薬がたくさんあってどれがなんだか区別がついていない、色と粒数くらいしか覚えていない」という方もいらっしゃいますので、そのような場合は「食事が摂れない場合薬は飲まない、摂れるようになったら再開」でもよいのかもしれません。ただ、患者さんによっては「調子が悪い時でもこの薬だけは飲み続けてほしい」という薬があるかもしれませんので、折に触れて主治医に確認しておくことをお勧めします。

前々回のメトホルミンを扱ったブログで「歳以上のご高齢の患者さんはシックデイリスクが若い患者さんより高いため、メトホルミンは慎重投与、歳以上の方に新規で開始することは避けている」と記載しましたが、この阻害薬については、後述の通り心臓・腎臓といった高齢者で機能低下を起こしやすい内臓に非常に良い効果がもたらされることが実証されているため、ある程度お元気な高齢者では慎重に投与するケースもあります。

エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 20233)では、CKD 患者のシックデイ・ルールと、シックデイに.

当院は郊外と言えど東京にあるクリニックであり、交通の便は比較的良いですので、大地震があったとしても交通が寸断される、物資の供給が完全に途絶える、というシチュエーションは強くは危惧されませんので、災害時の備えは居住地のアクセスによるところも大きいと思います。しかし、先述の通り備えあれば憂いなし、ということでしっかり対策を立てましょう。

SGLT2阻害薬(ジャディアンス®、フォシーガ®など食事摂取不良時に内服するとケトン体という物質が体内で増え、ケトアシドーシスという合併症のリスクが高まります。また、尿に余分な糖を排泄する薬のため、脱水を助長するリスクがあり内服を避けるべきです。

フォシーガ®の採用があります。また、前回紹介したDPP4阻害薬の成分をミックス ..

さらに、これは前々回のメトホルミンと同様なのですが、「シックデイ」と呼ばれる、食事が摂れないほど体調が悪いときは、「ケトアシドーシス」と呼ばれる合併症リスクが上昇するため、休薬が望ましいです。少し鼻水が出る、のどが痛い、微熱がある、程度で食事は問題なく摂れる、ということであれば無理に休薬する必要はありません。

薬の使い方については上記のシックデイ時の注意点に準じてください。避難所生活を強いられ、飲料水が不足し脱水のリスクがある、食事量が普段と変化しインスリン使用量の変更を検討すべきである、などのシチュエーションが想定されます。また、不衛生なトイレの使用、入浴の制限なども想定されますが、尿に余分な糖を逃がす阻害薬を内服中の場合、特に女性で陰部・性器感染症のリスクが高まりますので、中止を検討すべきです。逆に、災害時でも自宅で概ね通常通りの生活が送れている、避難所生活ではあるが飲食・衛生面ともに大きな問題はない、という場合、普段の糖尿病治療をそのまま継続してもよいと思われます。

中止により血糖が上昇してしまう時には受診をします。 SGLT2阻害薬(ジャデアンス、フォシーガ、カナグル、スーグラ)

SGLT2阻害薬というのは薬の種類名で、実際の薬物名でいきますと、院内では、ジャディアンス、フォシーガの採用があります。また、前回紹介した阻害薬の成分をミックスした、カナリア配合錠、トラディアンス配合錠も採用しています。前者は「カナグル」という名前の薬と「テネリア」という名前の薬、後者は「トラゼンタ」という名前の薬と「ジャディアンス」という名前の薬をミックスしたものです。