[PDF] GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1 受容体作動薬の適正使用について


ただダイエット目的での安易なリベルサスの服用自体は、私自身はお勧めはしていません。
「GLP-1ダイエット」と評して美容系クリニックを中心にリベルサスによる減量治療が昨今すすめられておりますが、その風潮を糖尿病専門医としてはやや危惧しています。
投稿でも紹介した通り減量効果は間違いないお薬ではありますが、糖尿病でない方への使用については安全性への懸念がある為です。


GLP-1市場、オゼンピック供給問題で変動 トルリシティ再浮上か、経口剤リベルサスへのシフトも ..

リベルサスは初の経口薬として登場したGLP-1作動薬です。
単剤として強力な血糖コントロール改善効果を持ち、体重減少効果も期待できます。

服用後は、飲み物を飲んだり、食事をしたり、他のお薬を服用したりする場合は、少なくとも服用後30分程度あける必要があるため、注意が必要です(上述の通り、食事や服用する際の飲水によって、リベルサスの吸収に影響が出てしまうため)。

[PDF] 基礎インスリンと GLP-1 受容体作動薬の配合注射薬

注射薬は高いとイメージを持たれると思いますが、リベルサス1錠の価格は他のGLP1受容体作動薬の注射薬と比べても同等レベルです。

その他、重大な副作用として低血糖(頻度不明)が挙げられています。
GLP-1受容体作動薬は空腹時には働かず、食事をとって血糖値が高くなったときに働くため、低血糖を起こしにくいといわれています。
ただし、SU薬やインスリンと一緒に使う場合は低血糖への注意が必要です。

糖尿病治療薬の進化は止まらない!〜インスリンとGLP-1受容体作動薬

リベルサスを単独で使用する場合には低血糖のリスクは比較的低い薬と言われています。

こちらは日本人2型糖尿病患者さんを対象にリベルサスとプラセボ(偽薬)、ビクトーザの単剤での効果を比較しているPIONEER 9試験のデータ(2)になります。

現在主力の週1回製剤トルリシティ®︎との比較を下の表にまとめてみ ..

GLP-1受容体作動薬は胃腸障害の割合が比較的多い薬剤です。注射薬のセマグルチド(オゼンピック)でも大きな懸念事項でしたが、経口薬のリベルサスでも当然のこの副作用が比較的多く出現します。

(4) 2型糖尿病治療剤 経口GLP-1受容体作動薬 セマグルチド(遺伝子組換え) 医薬品インタビューフォーム


リベルサス 経口セマグルチド PIONEER 10 トルリシティ デュラグルチド 日本人

まとめると

血糖改善度
リベルサス7mg≒ビクトーザ0.9mg≒トルリシティ0.75mg
もちろん飲み薬の中では最強

体重改善度
リベルサス>ビクトーザ>トルリシティ
飲み薬の中でもSGLT2阻害薬よりも強い

臨床試験ではトルリシティと比較した試験でも有意なHbA1c低下を認めています。

日本人のデータとしてはPIONEER 9(2)(経口薬1剤もしくは食事療法で治療中の2型糖尿病患者さんを対象とした、リベルサス3mg, 7mg, 14mgとビクトーザ0.9㎎ の比較試験)とPIONEER 10(3)(経口薬1剤もしくは食事療法で治療中の2型糖尿病患者さんを対象とした、リベルサス 3mg, 7mg, 14mg とトルリシティ 0.75㎎/週の比較試験)があります。

今、期待のお薬 vol.1 GLP-1受容体作動薬 ~体重が減るお薬

リベルサス7mgはビクトーザ0.9mgやトルリシティ0.75mgよりも体重改善効果が強い結果に、14mgになると更に体重改善効果に差がつきました。

リベルサス錠、ビクトーザ皮下注、ビデュリオン皮下注、バイエッタ皮下注、リキスミア皮下注、トルリシティ皮下注、オゼンピック皮下注

結果は、リベルサス7mgとビクトーザ0.9mg、リベルサス7mgとトルリシティ0.75mgがほぼ同等の結果、リベルサス14mgは最も強力との結果になりました。既存のGLP1受容体作動薬に負けていないことが分かります。

【専門医解説】リベルサス 内服GLP1受容体作動薬についてわかりやすく説明します! ..

PIONEER9ではリベルサス(3,7,14mg)とビクトーザ0.9mgとの比較、 PIONEER10ではリベルサス(3,7,14mg)とトルリシティ0.75(週1回)との比較試験です。

トルリシティ、オゼンピック、マンジャロ(GIP/GLP-1受容体作動薬)の順番に食欲の抑制作用が強く、つまり体重減少効果が強い薬剤です。

リベルサスの国際共同研究はPIONEER試験シリーズとして、偽薬との比較(PIONNER 1)、SGLT-2阻害薬との比較(PIONEER 2)、注射タイプのGLP-1製剤との比較(PIONEER 4)などPIONNER 10まで発表されています。

トルリシティとビクトーザの2剤が市場を分け合う構図で、全体の6割をトルリシティが占めていました。 利便性で処方拡大

上図は受容体作動薬を投与した人、そうでなかった人の心臓病の発生率を比べた研究なのですが、青色の線の「リラグルチド群」と書かれた、受容体作動薬を投与した人達において、心臓病の発生率が内服後年、年・・・と経過するにつれてどんどん下がっていき差がついていることが伺えます。

1週間に1回注射:ビデュリオン®、トルリシティ®、オゼンピック® ..

受容体作動薬は糖尿病治療のために作られた薬なのですが、近年の研究で心臓・腎臓を傷めてしまった患者さんに大きな利益をもたらされることが実証されており、上図にもある通り、最近では心血管疾患・慢性腎臓病を患っている患者さんに受容体作動薬を投与しましょう、という動きが加速しています。

[PDF] 糖尿病薬のトリセツ」 大阪市立総合医療センター WEBセミナー

どちらの試験でも経口薬のリベルサスの方が注射薬であるビクトーザやトルリシティよりも高い体重減少効果が得られていました。

リベルサス錠7mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)

以上の臨床試験結果より、使用方法に注意し、適応する患者さんに使用することで、自己注射によるGLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬と区別化した使用が可能と考えられるのではないでしょうか?新しい選択肢の1つとして、皆さんも患者さんの役に立てるかを検討してみませんか?

トルリシティ (日本イーライリリー), トルリシティ皮下注0.75mgアテオス (先発品) ..

そこでセマグルチドに代表されるGLP-1受容体作動薬は、GLP-1の構造に少し手を加え、DPP-4に分解されにくくしています。

リベルサス, 規格:錠3㎎/7mg/14mg 適応:2型糖尿病

毎回出している「型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を見ると、受容体作動薬は、肥満・非肥満によって薬物選択の優先順位が大きく異なることがわかります。

トルリシティ・オゼンピック・マンジャロについては新規処方ができない状況です。

余談ですが、受容体作動薬は上述のメカニズムによる体重減少が期待できるため、以前紹介した阻害薬と同様、一部の自由診療クリニックなどで若年女性などをターゲットに、糖尿病ではないがダイエットをしたい、という方に向けて自費で処方されているようです。しかし、これまで述べてきたような注意点に留意し、処方に精通した医師が慎重に投与すべき薬と考えますので、私はあまり好ましくないことだと考えています。ただ、現状未発売ではあるものの、「糖尿病ではない、しかし肥満による合併症高血圧症、脂質異常症などを有する患者さん」でも保険で使える受容体作動薬の発売が近々予定されています。使用する患者さんは適切に選ぶ必要がありますが、糖尿病のない患者さんでも受容体作動薬による体重減少の恩恵を受けられる時代が近づいています。

グリプチン「グラクティブ®」 「ジャヌビア®」 (DPP-4阻害薬)、 ビルダグリプチン 「エクア®」

飲水量と、服用後の飲食についても注意が必要です。次の表は健康男性被験者を対象に1日1回リベルサス10mgを10日間反復経口投与したときの血中濃度を投与後絶食時間、飲水量別に表にしました。

注目の経口セマグルチドの強さを知る 糖尿病薬との比較試験 総まとめ

・トルリシティ皮下注→リベルサス内服へ切り替え(1名)の例。7mg/日を服用後、体重減少が見られた。脂肪は減少するが、筋肉量はほぼ変わりない。食行動が良くなったとのこと。