ライド(エリスロマイシン・クラリスロマイシン)少量を長期にわたって投与する
蓄膿症と称されていた以前からあるタイプの副鼻腔炎です。非好酸球性副鼻腔炎の中にもいくつかのタイプがあり、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、こどもの頃からの繰り返す急性副鼻腔炎、など非好酸球性副鼻腔炎の成因・病態は様々です。マクロライド少量長期療法(クラリス、ルリッド、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質を少量で長期間服用します)が基本的治療ですが、患者様の病態に合わせてアレルギー性鼻炎治療なども併用します。鼻中隔弯曲が原因による副鼻腔炎の治療には手術が必要になることが多いです。また、大きな鼻茸がある場合やマクロライド少量長期療法で改善できない場合は手術適用です。
5-7mg/kg/day (常用量の半量)投与群 28 例 ..
急性副鼻腔炎は抗菌薬による治療を行います。
慢性副鼻腔炎に対しては病態(病状のタイプ)にあわせた薬物を組み合わせます。
慢性副鼻腔炎にはがよく用いられます。これは14印環という構造を持つマクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン)を通常量の半量で長期間(2週間から数ヶ月間)服用する治療です。抗菌作用の弱い抗生物質をさらに半量で用いるので長期間服用しても安全です。マクロライド少量長期療法は細菌に対して働くのではなく、鼻・副鼻腔粘膜の慢性の病的状態を正常化し鼻汁や後鼻漏を徐々に改善します。
マクロライド少量長期投与療法は、慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎の症状改善に有効な治療法です。
本研究の目的は、マクロライド系抗菌薬の一つであるクラリスロマイシンを用いて、その長期投与による
通常、抗生物質は短期間集中投与で効果を発揮しますが、マクロライド少量長期投与療法では、従来の抗生物質療法とは異なるメカニズムで症状改善を目指します。
慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎でマクロライド系抗生物質を少量継続する方法は、「マクロライド少量長期投与療法」と呼ばれ、長年に渡りその有効性と安全性が確認されています。
CAM)200mg/day の少量長期投与を開始した.20XX
1980年代当初,緑膿菌を主因とする難治性呼吸器疾患に対し,14員環マクロライドの長期投与が患者の病態を著しく改善させる可能性が指摘された。工藤ら1)は,びまん性汎細気管支炎を中心にエリスロマイシンの大規模臨床試験の調査を実施し,これを契機にエリスロマイシンの抗菌活性以外の新たな薬理作用の研究が始まった。現在では,14員環マクロライドであるクラリスロマイシンや15員環であるアジスロマイシンの抗菌作用以外の薬理作用について多数の成果が報告され,マクロライド少量長期療法として各種慢性気道感染症に適応が広がっている。また慢性副鼻腔炎の治療にもマクロライドの長期投与療法が行われ,優れた治療効果を発揮している。そのほか,びまん性汎細気管支炎以外の慢性気管支炎や気管支拡張症,一部の気管支喘息に対する有効性などが報告され,未熟児肺傷害,滲出性中耳炎にも効果があるとの報告が相次いだ。このようにマクロライドは,上気道,下気道を問わず気道粘膜の慢性炎症疾患に対して広く用いられるようになっている。世界有数の治療成績を誇る日本の新生児医療の進歩により,在胎週数の非常に未熟性が強い今までは助からなかった24週未満の児が救命できるようになり在宅酸素療法で退院している赤ちゃんが増えている現状がある。慢性肺疾患(CLD)の赤ちゃんに対して感染予防でのマクロライド少量長期療法を行っている施設もある。また,在宅呼吸サポート療法を必要とする気道病変を有する患者や,気管切開を施行したうえで在宅管理に移行する患者においても使用されることが多くなってきている。ここにマクロライド少量長期療法について解説する。
びまん性汎細気管支炎(DPB:Diffuse Panbronchiolitis)に対し,14員環マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン,クラリスロマイシン,ロキシスロマイシン)の少量長期投与が行われている(保険適応外使用)。通常は2~3ヶ月以内に臨床効果が認められ,最低6ヶ月投与して効果を判定する。自覚症状および臨床検査所見(画像,肺機能等)が改善し,症状が安定し,重症度分類で4級および5級程度になれば,通算2年間で終了する。終了後に症状が再燃したら,再投与する。また広汎な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例で有効な場合は,通算2年間に限定せずに継続投与する。
抗菌活性以外の機序により、経口マクロライド系抗生物質の少量長期投与がびまん性汎細気管支炎 ..
マクロライド系抗菌薬(マクロライド系)はマイコプラズマ感染症の特効薬として使われていたが,工藤らのびまん性汎細気管支炎(DPB)に対するエリスロマイシン(EM)療法1)の際,高率に合併する慢性副鼻腔炎の症状も軽快することが知られるようになった。また,DPB を伴わない慢性副鼻腔炎単独例でも EM 療法が有効であること2)や,ニューマクロライド系抗菌薬(ニューマクロライド系)であるロキシスロマイシン(RXM),クラリスロマイシン(CAM)3)の有効性についても報告されたことから,マクロライド系抗菌薬少量長期投与療法(マクロライド療法)は急速に広まった。しかし,本来手術療法が適応の症例や,マクロライド系無効例に対しても漫然と長期投与が行われる傾向があり,注意が必要である。マクロライド療法は,薬剤感受性(最小発育阻止濃度,minimum inhibitory concentration:MIC)以下の投与量であり,それを長期間続けることは,薬剤に対する耐性化を生じさせる要因となる。現在,マクロライド系耐性を示す肺炎球菌は,小児中耳炎患者の鼻咽腔から検出される肺炎球菌の 70%を占めるまでに至っている4)。海外の小児急性鼻副鼻腔炎治療ガイドライン改訂版では,マクロライド系の少量長期投与は行われておらず,マクロライド系投与はβラクタム系抗菌薬にアレルギーをもつ場合のみとされている5)。したがって,マクロライド系少量長期投与の適応は慎重に決定されねばならない。今回は,マクロライド療法について,特に有効性の高い慢性鼻副鼻腔炎を中心に,小児の滲出性中耳炎についても,その適応と使い方について述べる。