ロトニンとメラトニンのバランスが崩れ、メラトニンの作用が優位になることでインスリン分泌量が
:グリミクロン(グリクラジド)、アマリール(グリメピリド)、オイグルコン(グリベンクラミド)、ダオニール(グリベンクラミド)
スルホニル尿素薬は経口血糖降下薬の中で最も歴史のあるものであり、膵臓への作用によって強力なインスリン分泌効果を示します。そのため、血糖値をしっかりと下げることができますが、夜間や食前などにおいて重篤な低血糖に陥る可能性があります。また、この薬剤は「二次無効」と呼ばれる、効果が徐々に減少する現象を引き起こしやすいとされています。そのため、長期間の使用や高用量の投与は控えるべきとされています。当クリニックでは、スルホニル尿素薬の使用に際しては、可能な限り短期間かつ低用量の処方を心がけています。
夕食が遅いと糖尿病リスクが高くなる⁉体内時計の乱れと血糖値の関係
:シュアポスト(レパグリニド)、グルファスト(ミチグリニド)、スターシス(ナテグリニド)、ファスティック(ナテグリニド)
速攻型インスリン分泌促進薬は、膵臓を刺激してインスリン分泌を増加させる薬剤です。この薬剤はスルホニル尿素薬に類似していますが、内服してからの効果発現がより早いため、食後の血糖値を効果的に下げるのに役立つ薬剤です。また作用時間が短いため、低血糖のリスクは存在しますが、スルホニル尿素薬と比較してそのリスクが低いのが特徴です。
:リベルサス(セマグルチド)
GLP-1受容体作動薬は、体内で分泌されるインクレチン(GLP-1とGIP)とは異なり、DPP-4で分解されにくいため、膵臓のGLP-1受容体を刺激してインスリン分泌を増加させ血糖値を下げます。GLP-1受容体作動薬は、胃や腸での吸収が難しく、また消化酵素によって速やかに分解されるため、以前は注射剤の形態しか存在しませんでした。しかし、サルカプロザートナトリウム(SNAC)という吸収促進剤の開発により、GLP-1受容体作動薬の経口製剤であるリベルサスが市場に登場しました。
リベルサスは他のGLP-1受容体作動薬と比較して治療費が抑えられる利点もありますが、服用方法はやや複雑です。空腹時に120 mL以下の水と共に服用し、その後30分間は飲食を控える必要があります。また、他のGLP-1受容体作動薬と同様に、便秘や下痢、嘔吐などの消化器症状が副作用として発生することがあります。
リベルサスを含むGLP-1受容体作動薬は、食欲を抑制し体重減少の効果を持っています。このため、最近では糖尿病でない人が、ダイエットや美容の目的で使用するケースが増加しています。しかし、このような適応外使用に関しては、日本糖尿病学会と同様に、当クリニックでも推奨していません。おすすめできない理由についてはをご覧ください。
睡眠不足が続くと、インスリン分泌をサポートするメラトニンが減少。 また食欲を司るホルモン分泌のバランスの乱れから過食傾向に! サビる
:スーグラ(イプラグリフロジン)、フォシーガ(ダパグリフロジン)、ルセフィ(ルセオグリフロジン)、デベルザ(トホグリフロジン)、カナグル(カナグリフロジン)、ジャディアンス(エンパグリフロジン)
SGLT2阻害薬は、リンゴやナシなどのバラ科果樹の樹皮や根皮に含まれるフロリジンを改良して作られたものです。この薬剤は、腎臓の近位尿細管にあるSGLT2をブロックすることで、尿にブドウ糖(グルコース)を漏れやすくします。この結果、1日に約70~80gのブドウ糖(約300 kcal分)を尿中に排泄し、血糖値だけでなく体重も減少させることができます。また、SGLT2阻害薬は心臓や腎臓などを保護する効果もあることが明らかとなり、一部のSGLT2阻害薬は糖尿病以外の心不全や慢性腎臓病の治療にも使用されるようになりました。
しかしながら、この薬剤には留意すべき副作用があります。多尿や頻尿、脱水、性器感染症、糖尿病ケトアシドーシスなどのリスクがあるため、特にご高齢の方が使用する際には注意が必要です。また、ダイエットや美容目的での適応外使用については、当クリニックでは推奨していません。SGLT2阻害薬の使用に関しては、専門の医師の指導に基づいて行うことを強くお勧めします。
:ジャヌビア(シタグリプチン)、グラクティブ(シタグリプチン)、テネリア(テネリグリプチン)、トラゼンタ(リナグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)、オングリザ(サキサグリプチン)、エクア(ビルダグリプチン)、スイニー(アナグリプチン)、マリゼブ(オマリグリプチン)、ザファテック(トレラグリプチン)
食事を摂ると、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンが小腸から分泌されます。これらの2つのホルモンを総称してインクレチンと呼び、膵臓に対してインスリン分泌を促進します。しかし、インクレチンはDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という酵素によって速やかに分解されてしまいます。DPP-4阻害薬は、このDPP-4の働きを90%以上抑えることでインクレチンが分解されにくくなります。これにより、インクレチン濃度が増加し、膵臓からのインスリン分泌が促進され、血糖値を下げることができます。
この薬剤は、血糖値が高いときには効果がしっかり現れ、逆に血糖値が低いときには効果が弱まるため、低血糖のリスクが少ないことが特徴です。また、他の副作用も比較的少ないため、日本ではよく使用されている薬剤です。
血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなるため、糖尿病の発症リスクが高ま ..
:アクトス(ピオグリタゾン)
ピオグリタゾンは、PPARγという受容体を活性化することで、肝臓や筋肉などに作用してインスリンの効果を増強します。これにより、インスリンが効きやすくなり血糖値が下がります。
ただし、ピオグリタゾンの使用にはいくつかの注意点があります。特に、肥満のある2型糖尿病の方には効果が高いとされているお薬ですが、一方で体重増加のリスクもあります。また、ピオグリタゾンは水分や塩分を体内に蓄積しやすくするため、浮腫や心不全の悪化につながる可能性もあることが知られています。さらに、女性では骨粗鬆症のリスクが高まることも報告されており、その使用には注意が必要です。
:セイブル(ミグリトール)、ベイスン(ボグリボース)、グルコバイ(アカルボース)
これらの薬剤は、糖質の分解を阻害して腸からのブドウ糖の吸収をゆっくりにすることで、食後の血糖上昇を抑える作用があります。このタイプの薬剤は3種類存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。
ベイスンとグルコバイには糖尿病発症予防効果があり、ベイスンは耐糖能異常(いわゆる糖尿病予備軍)の方に使用できます。副作用については、セイブルとベイスンでは下痢や軟便が多くみられ、グルコバイでは便秘が多いという特徴があります。
また、当クリニック院長が所属していた日本医科大学では、この3種類の効果を比較する研究がされ、このうちセイブルにのみ体重減少の効果が報告されました。(
インスリンの分泌低下に部分的に関与し、血糖値の制御に役立つ、ということが ..
:メトグルコ(メトホルミン)
メトホルミンは、主に肝臓でのブドウ糖の生成を抑えたり、インスリンの効果を高めることで肝臓や筋肉でのブドウ糖の取り込みを改善したりすることなどで血糖値を下げます。その有効性や安全性、費用対効果の面から、欧米では2型糖尿病の治療においてメトホルミンが最初に選ばれることが一般的です。
ただし注意が必要な点として、メトホルミンはしばしば下痢や吐き気などの消化器症状を引き起こすことがあります。多量のアルコール摂取や心臓、肺、肝臓、腎臓に機能障害がある場合には、乳酸アシドーシスという重篤な副作用の発生するリスクが高まります。そのため、こうした方々ではメトホルミンの使用を避けることが一般的です。
またメトホルミンを服用している場合、ヨード造影剤を使用した画像検査を行う際には、検査の前後2日間(計5日間)は原則としてメトホルミンを休薬する必要があります。
GLP-1受容体作動薬は、体内で生成されるGLP-1とは異なり、体内の酵素による分解を受けにくい性質を持っています。これにより、膵臓を刺激してインスリンの放出を促進し、血糖値を低下させます。同時に、血糖値を上昇させるグルカゴンというホルモンの分泌を抑制し、また胃の内容物の排出を遅らせることにより食後の血糖上昇を抑制します。さらに、多くのGLP-1受容体作動薬は食欲中枢に作用して食欲を抑制する効果があることも知られています。GLP-1受容体作動薬は、その効果が持続する時間によって、短時間作用型と長時間作用型に分類されます。
短時間作用型のGLP-1受容体作動薬は、長時間作用型と比較して胃の内容物の排出をより遅らせることにより、食後の血糖上昇をより強力に抑制します。これに属する薬剤には、バイエッタ(エキセナチド)とリキスミア(リキシセナチド)があります。ただし、バイエッタはスルホニル尿素薬と併用する必要があり、またリキスミアは1日に1回しか使用できない制約があります。そのため、短時間作用型のGLP-1受容体作動薬はあまり広く使用されていない傾向があります。
長時間作用型のGLP-1受容体作動薬は、1日1回または1週間に1回の投与で効果をしっかりと発揮するため、短時間作用型と比較して多くの場面で使用されています。これに属する薬剤には、1日1回投与のビクトーザ(リラグルチド)、1週間に1回投与のトルリシティ(デュラグルチド)とオゼンピック(セマグルチド)があります。
ビクトーザには、インスリンとの配合剤であるゾルトファイ(インスリンデグルデク/リラグルチド)があるため、インスリン治療を受けている患者さんに広く使用されています。トルリシティは体重減少効果が弱いため、高齢者や肥満のない2型糖尿病の方に適しています。オゼンピックは、GLP-1受容体作動薬の中で最も優れた血糖改善効果と体重減少効果を持つため、最近では使用されるケースが増えています。
メラトニンは網膜への光刺激が遮断されることにより松果体から分泌され,体内時計を調節するホルモンである.
当クリニック院長は、大学病院勤務時代から1型糖尿病患者さんの診療を多く経験しており、インスリン皮下分解症候群を合併した1型糖尿病患者さんの主治医や論文作成()にも関わってまいりました。
1型糖尿病の方の血糖コントロールは難しいとされています。当クリニックでは、糖尿病専門医が1型糖尿病患者さんお一人おひとりに寄り添い、適切な血糖コントロールを行うことで、患者さんの合併症予防と健康寿命の維持に努めてまいります。
するという仮説に変更して検討を行った。その結果、β細胞におけるグルコース誘発[Ca2+]iオシレーションや
メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。
本検討は、看護師健康スタディ(Nurses' Health Study)コホートを対象とし、2000年のベースライン時に糖尿病を発症しておらず、尿および血液検体を提供しており、その後2000~2012年の間に2型糖尿病を発症した女性参加者を特定して行われた。
ベースライン時と2型糖尿病発症時とのメラトニン分泌の関連について、人口統計学的特性、生活習慣、睡眠の質、炎症性と内皮機能障害のバイオマーカーで調整後に多変量条件付きロジスティック回帰分析にて評価を行った。
症例群370例を特定し、リスク適合対照群として特定した370例と比較検討した。
ベースラインでのクレアチニン値は両群で同程度であった(p=0.20)。しかし、尿中メラトニン分泌(6-sulfatoxymelatonin)/クレアチニン比の中央値は、症例群28.2ng/mg(5~95%範囲:5.5~84.2ng/mg)に対し、対照群36.3ng/mg(同:6.9~110.8ng/mg)だった(p<0.001)。
メラトニン分泌/クレアチニンの推定ログ比率三分位(低中高)に階層化し検討した結果、同値が低い被験者のほうが、2型糖尿病のリスクが増大する関連が認められた。調整後のリスクは同比率1低下につき1.48倍であった(多変量オッズ比:1.48、95%信頼区間:1.11~1.98)。
また、同比率低下三分位の高値群(≧49.1ng/mg)と比べて、低値群(≦26.1ng/mg)の2型糖尿病の発症率は2.17倍であった(多変量オッズ比:2.17、95%信頼区間:1.18~3.98)。
メラトニン分泌高値群の2型糖尿病発症率は4.27/1,000人・年に対し、同低値群は9.27/1,000人・年と推定された。
著者は、「メラトニン分泌低下と2型糖尿病発症の高リスクに独立した関連が認められた。メラトニン分泌が一般集団における糖尿病の修正可能なリスク因子であるか、今後のさらなる研究が求められる」とまとめている。
インスリン抵抗性とは、「インスリンの分泌はあるのに、効果を発揮できない状態 ..
GIP/GLP-1受容体作動薬のマンジャロ(チルゼパチド)は、ヒトのGIPをベースに作られており、体内で分泌されるGIPとは異なり、体内の酵素による分解を避ける特性を持っています。マンジャロは、GIP受容体だけでなくGLP-1受容体にも結合できるため、前述のGLP-1受容体作動薬の中で最も効果が優れているオゼンピックを超える血糖改善効果と体重減少効果が認められています。
マンジャロについての基本情報をより詳しく知りたい方は、をご覧ください。
2024年6月4日に限定出荷が解除された高容量のマンジャロについて、より詳しく知りたい方はをご覧ください。
2024年8月に報告されたマンジャロの優れた予後改善効果についてはをご覧ください。
一般に睡眠の基本条件とされるのが、体温の低下と睡眠物質(メラトニン)の分泌です。
糖尿病患者さんの血糖値は、生活習慣の改善と適切な管理によってコントロールすることができます。また、定期的な血液検査や画像検査などを行い、医師が適切に評価して治療していくことで、糖尿病の合併症を防ぐこともできます。糖尿病について正しい知識を持ち、自己管理と定期的な受診を心掛けていきましょう。
膵β細胞にも MT2 受容体は発現しており、インスリン分泌の抑制をもたらす。一方で、
日本糖尿病学会では、血糖正常化を目指す際の目標値をHbA1c 6.0%未満、合併症予防のための目標値をHbA1c 7.0%未満、治療強化が困難な際(低血糖のリスクが高い場合など)の目標値をHbA1c 8.0%未満としています。
メラトニンは脳の松果体という部位から分泌されるホルモンで、体内時計に ..
寝苦しい熱帯夜で睡眠不足になり易いこの頃です。それにしても食べた後にはよく眠くなりますね 特に昼食後に眠くなる人は多いのではないでしょうか。どうしてでしょうか
生化学(デブリン生化学 7版p900)の本には次のように説明してあるそうです
(ブログ ドクター江部の糖尿病徒然日記2017/7/14)
糖質(炭水化物)摂取で血糖値上昇するのでインスリンが分泌(糖質量多ければインスリンもより多量分泌)され、インスリンの作用でアミノ酸が骨格筋へ取り込まれ蛋白質合成が促進され血中アミノ酸濃度が低下する。しかし、トリプトファン(アミノ酸の一種)だけは骨格筋へ取り込まれないので血液中のトリプトファン濃度が相対的に上昇する。その後次のような連鎖で眠気が出てくる。血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現
食後だから眠くなるのではなく、糖質を摂ってインスリン分泌が増えるから眠くなる理屈です。
糖質制限食だと眠気が少なくなるので、あるタクシー会社では勤務中の運転手の食事を糖質制限食にして眠気による事故を予防しているそうです。職業ドライバーに限らず一般のドライバーでも運転前の食事は糖質制限食が望まれます。また、江部ドクターによれば、血糖値の変動が少ないと心理的に安定するので、安全運転につながります。
昼食後に眠くて仕方がない人は、昼食を糖質制限食にしてみましょう。
5月27日:メラトニンと糖尿(6月14日号Cell Metabolism掲載論文)
ただし、HbA1cの値には大きく分けて2つの弱点があります。まず1つ目は、HbA1cが過去2ヶ月程度の血糖状態を反映するものであり、直近の状態を捉えられないことです。そのため、血糖値が低いのにHbA1c値が高くなることや、逆に血糖値が高いのにHbA1c値が低いこともしばしばあります。このような状況では、治療方針が決定しづらくなります。
2つ目は、HbA1cの値は過去の平均血糖値をよく示す一方で、食後の高血糖などの血糖変動はHbA1cの値に十分に反映されない傾向にあることです。そのため、HbA1cの値のみを判断材料にして治療方針を決定することは、血糖管理の質にばらつきを生じさせます。
こうした弱点を補う方法として、過去2週間程度の血糖状態を示すGA(グリコアルブミン)を測定することが比較的有効です。ただし、保険診療では通常、HbA1cとGAの両方を同時に測定することができません。しかしながら、インスリン治療を受けている方では、保険適応となるフリースタイルリブレを活用することで、より質の高い血糖管理が可能となります。
5月27日:メラトニンと糖尿(6月14日号Cell Metabolism掲載論文) ..
しかし、糖尿病患者では膵臓がインスリンを作り出す能力が低下しているか(インスリン分泌低下)、あるいはインスリンの効きが悪くなるため(インスリン抵抗性)、血液中のブドウ糖を適切に制御できません。その結果、長期間にわたって高血糖状態が続き、血管内にダメージを与え、血管障害を引き起こすことで健康リスクが高まります。
トリプトファンから精神を安定させるセロトニンが作られ、セロトニンは脳内でメラトニンになり、睡眠を引き起こす。 ..
糖尿病とは、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が正常に制御できなくなってしまう病気です。私たちの体では、食事から摂取した炭水化物(糖質)が最終的にブドウ糖に分解され、エネルギー源として利用されます。このブドウ糖を体内で適切に調整する役割を果たすのが、膵臓のβ細胞で産生される「インスリン」というホルモンです。