フォシーガ錠、「左室駆出率の保たれた慢性心不全」患者にも投与可に ..


▽「臨床成績」の項において、「左室駆出率の保たれた慢性心不全患者を対象とした国際共同第III相試験(DELIVER試験)の結果」を追記する


フォシーガ、標準治療を受けている慢性心不全で追加承認-AZほか

▽「効能または効果に関連する注意」の項において、慢性心不全に関する「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性・安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与する」旨の記載を削除する



しかし今般、臨床試験の結果「「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性・安全性」が確立されたことから、次のように「効能または効果に関連する注意」に見直しが行われました。

18:17 · Go to channel · 心不全TOPICS#25 欧州心臓病学会(ESC)速報:DELIVER試験 ..

このうち「慢性心不全」の対象については、これまで「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性・安全性は確立していない」とされ、「左室駆出率の低下した慢性心不全患者」のみが投与対象となっていました。

次に,HFpEF患者に対してもSGLT2阻害薬の効果が得られることが大きく期待されたわけである。大規模介入試験でHFmrEFまたはHFpEF患者を対象にSGLT2阻害薬の効果が検証された初めての報告は,2021年に発表されたEMPEROR-Preserved試験である。試験薬に用いられたエンパグリフロジンは主要評価項目である心血管死もしくは心不全入院の複合イベントを有意に抑制することが示された(ハザード比0.79[95%信頼区間:0.69~0.90])(表1)。これは,HFpEF患者に対して初めて薬剤の予後改善効果が示されたという点で,心不全治療における一つの歴史的な転換点であったと言える。

フォシーガ ダパグリフロジン 糖尿病 SGLT2阻害薬 DELIVER NEJM 心不全 EF HEFpF.

DELIVER試験は,EMPEROR-Preserved試験と同様に,HFpEF患者を対象にSGLT2阻害薬の効果を検証した大規模介入試験であり,試験薬にはダパグリフロジンが用いられている(表1)。Principal investigator(PI)は米Brigham and women's hospitalのSolomon教授と筆者の留学先の上司であるMcMurray教授が共同で務めている。本試験の結果は,2022年8月に行われた欧州心臓病学会でSolomon教授より発表され,ダパグリフロジンは主要評価項目である心血管死もしくは心不全増悪の複合イベントを有意に抑制した(ハザード比0.82[95%信頼区間:0.73~0.92])(。これにより,HFpEF患者におけるSGLT2阻害薬の効果はより確固たるものに

「フォシーガ錠5mg」および「同錠10mg 」(一般名: ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)は、▼2型糖尿病▼1型糖尿病▼慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)▼慢性腎臓病(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)—に対する効能・効果が認められています。

2023年1月、慢性心不全の適応が拡大され、左室駆出率にかかわら ..

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は第III相DELIVER試験の結果を発表しました。本試験において、アストラゼネカのフォシーガ®(一般名:ダパグリフロジン、以下、フォシーガ)が、心血管(CV)死または心不全(HF)悪化の主要複合評価項目に関して統計学的に有意かつ臨床的に意義ある抑制を達成したことが示されました。本試験は、駆出率が軽度低下した、または保持された心不全患者さん(左室駆出率が40%超と定義)を対象に実施されました。

新たな心不全治療薬として着目されたのは,SGLT2(sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬である。SGLT2阻害薬は,近位尿細管でのグルコースの再吸収を阻害する糖尿病治療薬として開発された。しかし,糖尿病患者を対象に行われた複数の大規模介入研究で予想外に心不全入院抑制効果を認めた。それを受けて,HFrEF患者を対象としてDAPA-HF・EMPEROR-Reduced試験でSGLT2阻害薬の効果が検証され,心血管死または心不全入院(もしくは心不全増悪)の複合イベントを抑制することが示された。


[PDF] 左室駆出率の軽度低下または保持 不全、ダパグリフ ロジンが有効

心不全は,左室駆出率の程度により,駆出率の低下した心不全(HFrEF),駆出率の軽度低下した心不全(HFmrEF),駆出率の保たれた心不全(HFpEF)に分類される。HFrEF患者では,アンジオテンシン阻害薬・β遮断薬をはじめとした多くの薬剤が予後改善に効果的であると示されており,すでに日常診療でも広く利用されている。一方,HFmrEFもしくはHFpEFは心不全患者の半分程度を占めると言われているが,両者を対象として上記薬剤を評価した介入試験では残念ながら予後の改善が示されなかった。そのため,HFmrEFもしくはHFpEF患者への治療薬開発は,本領域の悲願の一つであった。

【心不全】HFpEFを対象に後期開発中の有望新薬|DRG海外レポート

本邦では高齢化とともに心不全患者が急激に増加し,「心不全パンデミック」の時代を迎えており,治療法開発は大きな課題と言える。

フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序【糖尿病/心不全/CKD】

なお、フォシーガは日本では、2型糖尿病、1型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)、慢性腎臓病(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)を効能・効果として承認を取得している。添付文書には、効能・効果に関連する注意として、「5.5 左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること」が記されている。

心不全TOPICS#37 心不全治療におけるSGLT2阻害薬の ..

また、DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、HFrEF(左室駆出率が低下した心不全、収縮性心不全)患者4,744例を対象とし、フォシーガ 0mgを1日1回、標準治療に追加投与したときの効果を、プラセボとの比較により評価するようデザインされた。主要複合評価項目は、心不全の悪化(入院またはそれに相当するイベント[心不全による緊急受診])の初回発生までの期間または心血管死。フォローアップ期間の中央値は18.2ヵ月。

心不全TOPICS#25 欧州心臓病学会(ESC)速報:DELIVER試験 SGLT2阻害薬が ..

つまり、従前は投与が認められていなかった「左室駆出率の保たれた慢性心不全」患者にも本剤を投与することが可能になっています。

駆出率が軽度低下または保持された心不全に対するダパグリフロジン

「左室駆出率が40%を超える心不全患者は、治療がもっとも困難であり、利用できる治療選択肢もほとんどありません。心不全の複雑性の理解を深めるDELIVER試験の画期的な結果を発表できることを誇りに思っています。これらのデータは、2型糖尿病、慢性腎臓病、および心不全の患者でフォシーガの心腎保護作用が認められた当社の過去の研究にもとづくものです」と、同社では述べている。

Dapagliflozin(フォシーガ)投与、EF40-55%以下の心不全患者 4744 人。

AstraZeneca(英国)は、チェコのプラハで開催された欧州心臓病学会の心不全2023年次総会において、第III相DELIVER試験の2つの新たな解析結果から、心不全(HF)の罹患期間にかかわらず、循環器・腎・代謝(CVRM)疾患のさまざまな併存状態におけるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の一貫したベネフィットが裏付けられたと発表した。

第III相DELIVER試験の事前規定された解析として、左室駆出率(LVEF)が40%超の心不全患者におけるフォシーガの治療効果を、HFの罹患期間(6ヵ月以内、6ヵ月超~12ヵ月以内、1年超~2年以内、2年超~5年以内、および5年超)別に検討した。その結果、フォシーガのベネフィットがHFの罹患期間にかかわらず一貫していることが示された。さらに、高齢かつ1つ以上の併存疾患を有し、HF悪化および死亡率の高い、罹患期間が長期にわたるHF患者において、絶対利益が増加した(治療必要数[NNT]:HF罹患期間5年超の患者と6ヵ月以内の患者との比較で24:32)。

CVRM関連の併存疾患の有病率およびさまざまな併存状態でのフォシーガに対する被験者の反応を評価した第III相DELIVER試験の事後解析結果も発表され、同時にJACC Heart Failure誌に掲載された。本解析結果によると、LVEFが40%超のHF患者では、5例中4例以上の割合で他のCVRM疾患を少なくとも1つ併発しており、5例中1例の割合でHFに加えて3つのCVRM疾患を併発していた。また、フォシーガは忍容性が良好であり、その治療ベネフィットはCVRM疾患の併存状態に関係なく一貫していた。

ハーバード大学医学部およびブリガム&ウィメンズ病院の内科学教授で、第III相DELIVER試験の主任治験責任医師を務めるScott Solomon氏は「現在の診療では、罹患期間が長期にわたる心不全患者は、新しい治療を追加しても反応しない、または忍容性が低い進行性疾患に罹患していると見なされる可能性がある。第III相DELIVER試験のデータは、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンによる治療ベネフィットは心不全の罹患期間にかかわらず一貫しており、患者にとって治療が決して遅すぎることがないことを示している。このデータは、心不全におけるダパグリフロジンの有効性に関するエビデンスの拡大を裏付け、ダパグリフロジンが、新たに診断された患者と同じように長期に罹患している患者に対しても役立つことを実証している」と述べた。

また、AstraZenecaのバイオ医薬品事業部門担当、エグゼクティブバイスプレジデントであるRuud Dobber氏は「CVRM疾患が患者そして社会に及ぼす影響は計り知れない。しかしながら、これらの患者に対する診断、治療は不十分であり、CVRM疾患における相互関係も十分に認識されていない。第III相DELIVER試験の結果から、心不全患者が2型糖尿病や慢性腎臓病といった他のCVRM疾患を併発していることがいかに一般的であるかが浮き彫りとなった。今回発表された新たな解析は、あらゆる心・腎疾患に対してベネフィットをもたらすフォシーガの価値をさらに示しており、心不全や他のCVRM疾患を有する何百万人もの患者の治療を根本的に変えるという私たちのコミットメントを強調している」とした。

SGLT2阻害薬フォシーガ、日本で慢性心不全の承認取得/AZ・小野

同試験は、エビデンスにもとづく治療法が限られている入院歴のある患者、最近入院した患者、または左室駆出率が改善した患者といった対象も含め、この患者集団を対象としたこれまでの試験よりも幅広い組み入れ基準でデザインされた。これらの所見は、心不全で死亡率の有意な抑制を示したSGLT2阻害薬の唯一のアウトカム試験であるDAPA-HF試験でこれまでに報告された結果を強化するものであり、左室駆出率にかかわらず心不全患者の基礎治療薬としてのフォシーガの使用を支持するさらなるエビデンスを提供するものとしている。

DELIVER試験_左室駆出率が40%を超える慢性心不全患者さんを対象としたDELIVER試験_新作成要領

DELIVER試験では、2型糖尿病の有無を問わず、左室駆出率が40%超の心不全患者の治療として、フォシーガの有効性をプラセボとの比較で評価した。6,263例の患者が対象で、心不全のみは少なく(13%)、31%は心不全に加え1つのCVRM疾患、36%は心不全に加え2つのCVRM疾患、20%は心不全に加え3つのCVRM疾患に罹患していた。主要複合評価項目は、心血管死、心不全による入院、または心不全による緊急受診のいずれかが最初に発生するまでの期間。

DELIVER試験_-亜急性※集団のサブグループ解析_新作成要領



これを受け、保険診療の中で本剤を慢性心不全患者に使用する場合の留意事項においても次のような見直しが行われました。

試験(D169CC00001試験:DELIVER試験)17)、18)

なお、第3相DELIVER試験でのフォシーガの安全性および忍容性プロファイルは、これまでに十分確立されているフォシーガの安全性プロファイルと一致した。

承認番号:22600AMX00528(フォシーガ®錠5 mg)、22600AMX00529(フォシーガ®錠10 mg).

これらの知見は、以前に報告された第3相DELIVER試験および第3相DAPA-HF試験の結果にもとづいている。これらの試験は、HF患者に対する基礎治療薬としてフォシーガの使用を支持するエビデンスを提供し、駆出率(EF)にかかわらず死亡率の低下を示す唯一の心不全治療薬としてフォシーガを確立しているとしている。