(2) 一晩大量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に大量 (8 mg) のデキサメサゾン
デキサメタゾンの内服の方法には様々なやり方がありますが、慶應義塾大学病院では一晩法を採用しています。一晩法では、深夜23時に低用量の場合はデカドロン®1mg(2錠)、高用量の場合は8mg(16錠)を内服していただきます。そして、翌朝の8時~9時頃に血液検査を行い、コルチゾール濃度が低下するかどうかを検査します。入院中にこの検査を行う場合は、同時に蓄尿(ちくにょう)検査(24時間に排尿した尿をすべてバッグに貯める検査)を行って、尿中のコルチゾール濃度を参考にすることもあります。
低用量及び高用量のデキサメタゾン抑制試験において、被験者は 2 日連
正常な低下反応の判定は、低用量の場合はコルチゾール濃度<3μg/dl、高用量の場合はコルチゾール濃度<1μg/dlで低下反応あり(正常)と判定します。ただし、クッシング症候群の最終的な判定は他の検査も踏まえて総合的に決定します。
患者さんの体型や顔つきが徐々に変化していくことは本疾患の重要なサインです。特に中心性肥満と呼ばれる腹部や顔面を中心とした脂肪の蓄積が顕著になります。
クッシング症候群、デキサメタゾン抑制試験についてまとめました#病態・薬物治療#クッシング症候群#デキサメタゾン抑制試験.
顔の変化も顕著で、いわゆる「満月様顔貌」と呼ばれる丸みを帯びた顔つきになることがあります。これは顔面の脂肪蓄積と皮膚の変化が組み合わさって生じる現象です。
○ 概要
1.概要
下垂体から分泌されるADH、ACTH、TSH、GH、LH、FSH、PRLの単独ないし複数のホルモン分泌障害あるいは分泌亢進により、主として末梢ホルモン欠乏あるいは過剰による多彩な症状を呈する疾患である。病因は、下垂体自体の障害と、下垂体ホルモンの分泌を制御する視床下部の障害及び両者を連結する下垂体茎部の障害に分類される。実際は障害部位が複数の領域にまたがっていることも多い。
全ての前葉ホルモン分泌が障害されているものを汎下垂体機能低下症、複数のホルモンが種々の程度に障害されているものを複合型下垂体機能低下症と呼ぶ。また、単一のホルモンのみが欠損するものは、単独欠損症と呼ばれる。一方、分泌亢進は通常単独のホルモンのみとなる。
2.原因
汎ないし部分型下垂体機能低下症では、脳・下垂体領域の器質的疾患、特に腫瘍(下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍など)、炎症性疾患(肉芽腫性疾患としてサルコイドーシス、IgG4関連疾患など、自己免疫性炎症性疾患としてリンパ球性下垂体炎など)、外傷・手術によるものが最も多い。分娩時大出血に伴う下垂体梗塞(シーハン症候群)の頻度は低下している。一方、単独欠損症はGHやACTHに多く、前者では出産時の児のトラブル(骨盤位分娩など)が、後者では自己免疫機序の関与が示唆されている。さらに抗PIT-1下垂体炎(抗PIT-1抗体症候群)など自己免疫で複合型の下垂体機能低下症をきたすこともある。まれに遺伝子異常に起因する例があり、POU1F1(PIT1; TSH、GH、PRL複合欠損)、PROP1(TSH、GH、PRL、LH、FSH複合欠損)、TPIT(ACTH)、GH1、GHRHR(GH)などが知られている。カルマン(Kallmann)症候群の原因遺伝子であるANOS1(KAL1)などの異常はLH、FSH欠損による先天性性腺機能低下症の原因となる。近年、頭部外傷、くも膜下出血後、小児がん経験者においても下垂体機能低下症を認めることが報告されている。
また、分泌亢進症に関しては、腺腫、上位の視床下部における調節機能異常などが挙げられる。
3.症状
欠損あるいは過剰となるホルモンの種類により多彩な症状を呈する。
4.治療法
基礎疾患に対する治療
原因となっている腫瘍性ないし炎症性疾患が存在する場合は、正確な診断のもとに、各々の疾患に対し、手術や薬物療法、放射線療法などの適切な治療法を選択する。
ホルモン欠乏に対する治療
下垂体機能低下症に対しては、欠乏するホルモンの種類や程度に応じたホルモン補充療法が行われる。下垂体ホルモンはペプチドないし糖蛋白ホルモンのため、経口で投与しても無効である。このため、通常、各ホルモンの制御下にある末梢ホルモンを投与する。GHやFSHのように、遺伝子組み換えホルモン等を注射で投与する場合もある。
以下に、ホルモンごとの補充療法の概略を示す。
Cushing 病のスクリーニング検査として、一晩少量デキサメタゾン抑制試験を行います。 ..
クッシング症候群とはコルチゾール過剰による多彩かつ特徴的な臨床兆候と定義されています。
コルチゾールとは副腎皮質で産生されるステロイドホルモンの一つです。
症状としては多飲多尿、多食、腹部膨満、 筋肉の萎縮、脱毛、皮膚の菲薄化など様々です。
正常なコルチゾール産生の経路としては以下のようになります。
様々な刺激が脳の視床下部からコルチコトロピン放出因子(CRF)分泌を促し、これを受けて下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌されます。
副腎はACTHの刺激を受けてコルチゾールを放出します。
そしてコルチゾール分泌を受けて、視床下部、下垂体では、コルチゾールがこれ以上分泌されないように、CRF、ACTHの分泌を抑制します。(ネガティブフィードバック)
試験後のコルチゾール値、高用量デキサメタゾン抑制試験後のコルチゾール値、DDAVP 試
クッシング症候群にはその発生機序により、脳下垂体の腫瘍、副腎皮質の腫瘍、医原性の3つのタイプに分かれます。
脳下垂体の腫瘍によって副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が持続的に過剰分泌され、両副腎が腫大し、コルチゾールが過剰に分泌されます。
下垂体腫瘍の多くは良性で、自然発生のクッシング症候群のうち、80〜85%を占めています。
デキサメタゾン抑制試験の実施に先立ち褐色細胞腫又はパラガングリオーマの合併の ..
クッシング病の発症には複雑な要因が絡み合っており、その原因やきっかけを理解することが疾患の本質を把握する上で極めて重要です。
・デキサメタゾン抑制試験は、「クッシング症候群」などが疑われた ..
クッシング病の主たる原因は下垂体前葉に発生する良性腫瘍、すなわち下垂体腺腫にあります。
Cushing症候群・副腎性 subclinical Cushing症候群の 診断と治療
⑶医原性クッシング症候群
ステロイド薬を長期にわたり投薬した結果起こります。自身の体内では下垂体にネガティブフィードバックがかかった状態になり、ACTHの分泌が抑制されます。よって両副腎は萎縮します。
この状態でステロイド薬を完全に止めてしまうと、副腎皮質機能低下症になります。
[PDF] クッシング症候群 問 189(国家試験問題)CHECK!
副腎におけるコルチゾールは、下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令に従って作られています。そして、ACTHとコルチゾールは早朝から午前中にかけて高値ですが、夕方から夜間は低値となり1日の中でも時間による変動(日内変動)があります。本検査でデカドロン®を内服すると、翌朝の血液中のACTH濃度は正常の場合にはほぼ完全に低下して、副腎への指令がなくなるために、副腎で作られるコルチゾール濃度も非常に低い値となります。しかし、クッシング症候群では、デカドロン®によりACTHを低下させても、副腎腫瘍からは依然としてコルチゾールが作られるために、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となることで診断しています。
サメタゾン抑制試験を行います。PDH と AT の鑑別のために画像診断(特に超音波検査)、
クッシング症候群は症状、身体検査、尿検査、血液検査、エコー検査、ホルモン検査(ACTH刺激試験、低用量デキサメタゾン抑制試験、高用量デキサメタゾン抑制試験、内因性ACTH血中濃度測定など)から、総合的に診断します。
[PDF] 副腎性潜在性クッシング症候群:病態、成因、臨床的意義と新診断基準
医原性クッシング症候群で副腎が萎縮している場合、コルチゾールは変化しません。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の場合、コルチゾールは過剰に増加します。
この試験の結果がグレーゾーンだった場合、低用量デキサメタゾン抑制試験を行います。
クッシング病(Cushings disease) – 内分泌疾患
⑵ 低用量デキサメタゾン抑制試験
デキサメタゾンはステロイドの一つですが、コルチゾール量にはほとんど影響しません。
[PDF] クッシング病の診断の手引き(平成21年度改訂) 1
副腎腫瘍性の場合は下垂体に無関係にコルチゾール分泌が起こるので、デキサメタゾンを投与しても血中コルチゾールの量は変わりません。
を内服した翌朝(8-10 時)の血中コルチゾール値が前値の半分以下に抑制され
⑶ 高用量デキサメタゾン試験
これは⑴のACTH刺激試験でクッシング症候群が疑われる場合、下垂体性か副腎性かを鑑別するために行う検査です。
⑵の低用量デキサメタゾン試験と原理は同じですが、より高用量を用いることで下垂体性のクッシング症候群であっても、ネガティブフィードバックがかかり血中コルチゾール濃度が下がることがあります。
一方副腎性のクッシング症候群ではコルチゾール濃度は変わらないので、この違いによって鑑別します。
[PDF] 副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液
クッシング症候群には下垂体腫瘍性と副腎腫瘍性がありますが、これらは治療の方針が違います。
通常、成人に対する用法・用量は下表の通りである。 なお、年齢、症状により ..
⑵副腎性
副腎性の腫瘍は半分が悪性の腺癌であり、肺、肝臓、リンパ節などに転移の可能性があります。
もし遠隔転移が無ければ、副腎摘出を考えます。
遠隔転移があれば手術は行わず、QOL向上のための内科療法を行います。
デカドロン錠4mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)
◯内科療法
コルチゾールの産生を低下させる、トリロスタンという薬を使用します。
これは用量が多過ぎると逆に副腎皮質機能低下症になってしまうので、まず低用量から始めて、定期的にACTH刺激試験を実施しモニターします。
コルチゾールをコントロールするため、内科療法は通常、一生続ける必要があります。
*デキサメタゾンとは、副腎から分泌されるコルチゾルと同じ働きをする薬
この検査ではデキサメタゾンを投与した後のコルチゾール値を測定し、正常なフィードバック機構が働いているかを確認します。
治療期間が短いため、高用量であってもコルチステロイドは重篤な副作用を ..
大量デキサメタゾン抑制試験は高用量のデキサメタゾンを投与した際のコルチゾール抑制の程度を評価します。
[PDF] 月 日 ( 日曜日 ) 14時に受付にお越しください 様
この検査では下垂体からの血流を直接採取してACTH濃度を測定します。左右の濃度差やCRH負荷後の反応性を評価することで腫瘍の局在を推定します。
[PDF] 成長ホルモン分泌不全症診断薬 注射用プラルモレリン塩酸塩製剤
高解像度MRIを用いることで直径2-3mm程度の微小な下垂体腺腫でも検出できる可能性が高まります。腫瘍は通常T1強調画像で低信号、T2強調画像で等信号から高信号を示します。